主体性と自主性 具体的にどこが違う?
主体性は、特にするべきことが決められていない中でも、自分で判断して行動できる力です。指示を待つのではなくて自分の意思で責任を持って行動できるという、これからの時代に伸ばしたい力になります。自主性とは、あらかじめ決められたことを自分で率先して行動に移すことができる力です。やらせたいことを自ら進んでやってくれるので、指導者は助かります。主体性は、生まれた時からあるものと考えられますが、自主性は、役を任された時など、責任感を感じた時に発揮されていくのかもしれませんね。
主体性のある子どもの特徴と発揮できるシーンは?
主体性のある子どもは、自分のやりたいことや好きなことを自ら見つけて、試行錯誤しながら自分のやり方で達成していくことができます。例えば、発表会などクラスのみんなで何かを作り上げていくときでも、自己中心的に進めていくのではなく、周りの考えを聞くことができます。お互いのやりたいことを尊重して、どうしたらみんなが楽しく参加できるか、失敗を恐れずに達成できるかなどを考えて、協力しながら動くことができるのが特徴です。
主体性がないと感じたら 大人が視点を変えるべき
ママやパパなど、大人が望む主体性が子どもに見られないと「この子には主体性がない」と決めつけていませんか?例えば、「宿題をしてほしい」「お手伝いをしてほしい」というのは親が望むことで、子どもが宿題やお手伝いを進んでやることは主体性とは言えません。そもそも「主体性がない子ども」はいません。どんな子どもでも自分のやりたいこと、好きなことはあるはずです。家でゴロゴロしているなども含めて、子どもが日ごろやっていることや興味があることを認める言葉をかけて親子で楽しむことで、子どもは自分が肯定されていると感じることができ、少しずつ自信を持つことで主体性が育まれていくのです。「この子には主体性がない」と感じたら、子どもが好きなことに目を向けるなど、視点を変えることが大切です。
我が子の考えを聞くことから始めよう
「子どもが言うことを聞かない」と感じたら、我が子の思いを聞くことができているのか、自問自答してみてください。言うことを聞かせようとするのではなく、子どもの考えを聞くことから始めてみましょう。
【かかわり方のコツ】
まずは子どもがやっていることをよく見て、子どもの思いや考えを言語化(可視化)できるといいですね。次に挙げる会話の3ステップを心がけ、丁寧に親子の会話を重ねましょう。
①子どもの思いや考え、行動を認める言葉をかける
②親がお手本になる
③子どもにルール(その時に必要なこと)を伝える
多くの親は①②を飛ばして③から会話を始めてしまう傾向にあります。これで子どもの主体性が育たなくなってしまうとしたら、もったいないですね。
【避けるべき行動・言動】
「~しなさい」と指示をしたり、「~しないで」と禁止したりすることは避けましょう。指示や禁止の言葉をかけてしまうと、子どもの行動が制限されてしまうので、主体性を育てるためには望ましくありません。
【親が率先して行うべきこと】
子どもにできるようになって欲しいことは、親が率先して行いましょう。例えば、「先生におはようは?」など、つい言ってしまいがちですが、行動を促すよりも「〇〇先生、おはようございます!」と親がお手本を見せてあげると良いですね。子どもはママやパパをよく見て真似をするので、自然にあいさつができるようになるはずです。
子どもの父母との接し方
我が子の思いや 考えに耳を傾けて、 思いを受け入れる ことから始めましょう。
教えてくれたのは…
NPO法人「親子コミュニケーションラボ」代表理事
天野ひかり さん
NHK「すくすく子育て」のキャスターとしての経験を生かし、子どもの自己肯定感を育てるコミュニケーションアドバイザーとして各種講演会や講座など、多方面で活躍中。子どものやる気やワクワクを引き出す“先生のための講座”も開講。著書「子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉」。一児の母。